倒産・失業NO!雇用破壊NO!
99春季全国キャンペーンを成功させよう
倒産・失業NO、雇用破壊NO
2月20日に東京・千駄ケ谷の野口英世記念館で行われた「倒産・失業NO!全国キャンペーン運動を始めよう/全国交流シンポジウム」は、失業率が戦後最悪を記録しつづけ、倒産件数も増加の一途をたどる中で、中小民間の一般型労働組合が中心となって、反倒産と反失業をテーマに99春闘を闘う全国キャンペーン運動の大衆的なスタートを切る企画として開催された。
シンポジウムでは、現にいま倒産や解雇と闘っている労働組合(全国一般東京労組、全日建連帯労組、全統一労組、全港湾)から4人のパネリストがならび、不況下での倒産と、日米安保の新ガイドラインと関わる沖縄での解雇撤回の闘いをリアルにかつ実践的教訓を交えて報告し、前述した金融再編と軌を一にした倒産法制の改悪などににつて、活発な論議が交わされた。シンポジウムの詳しい内容は、労働者の権利と倒産問題研究会(倒産研)が発行する「倒産・失業NO!
労働組合実践マニュアル」(末尾に連絡先)に収録されているのでそれを読んでもらうことにして、ここではシンポジウムと倒産研というイニシアチブ・グループについて、いくつかの特徴を述べてみたい。
まず第一の特徴は、倒産研というイニシアチブ・グループが、昨年の労基法改悪反対闘争のイニシアチブとなった「4ネット」(有期雇用ネット、派遣労働者ネット、均等法ネット、パート研)の成果を継承しつつ、倒産や解雇撤回の争議を全国で闘ってきた産別型労組や一般型労組との連携を強め、日本帝国主義の国家社会再編の一環である産業再編に伴う労働者の権利侵害攻撃に対して、より全般的で全国的な闘争体制の構築と、全国キャンペーンを提起したことである。
その最大のテーマである倒産争議は、この産業再編の進展に伴って多発し、失業と労働条件劣悪化の震源となりはじめているとすら言えるのだが、今日の労働組合の多くは、これに対抗するどころか、倒産争議の経験の継承すらない現実がある。したがって70年代の倒産争議(倒産反対争議団)の経験と伝統を継承し、戦後労働法制の清算を象徴する労基法改悪に抗した運動の成果をも継承するイニシアチブ・グループが、労働組合の全国的連携(シンポジウムでは倒産と闘う全国的ネットワークとして語られた)と、春闘に合わせた全国キャンペーンを提唱したことは、2年後に迫った日本版金融ビックバンに向けて加速することになる国家社会再編に対して、倒産・失業反対という社会的課題掲げて闘う労働運動の、全国イニシアチブの登場の可能性を示すものであろう。
そして第二は、前述した「戦後日本の労働運動が経験したことのない形で、つまり派遣労働や有期雇用といった多様な雇用形態を駆使した攻撃として現れる」状況に対応する、新しい組織と運動の可能性である。
そのひとつは、もちろん「4ネット」が蓄積してきた不安定雇用労働者の組織化に関わる経験や教訓だが、もうひとつは70年代の倒産争議とは決定的に違って、争議以前は労働運動の経験すらほとんどない労働者が、最も先進的だが困難でもある、倒産企業の自主再建闘争を担うという主体の変化、あるいは今日的な大衆性を持つ主体の可能性である。もちろん背景には、不況と高い失業率が再就職を妨げているという事情はあるが、この「普通の労働者たち」が担う自主再建闘争は、職場と雇用の確保という、今日の労働者大衆の最も基本的で切実な要求にしっかりと立脚することで可能となったのであり、しかもそこから提出される銀行や大手商社など「背景資本」への要求は、金融再編の進展という今日の状況のもとでは、いかにささやかなものであれ非和解的な性格をはらむことが、「カメラのニシダ」(東京労組埼玉支部)や「シャルマン」(全統一)争議の報告によっても明らかにされた。
つまり2・20シンポジウムと倒産研の基盤となっている運動は、「新時代の日本的経営」が提唱した不安定雇用の拡大と、高い収益性を追求する金融再編下の倒産という事態への実践的対抗なのであり、だからそれは経済成長の時代にはありえなかった、労働運動の新しい実践的経験でもある。そしてこうした経験は、前代未聞の国家的不当労働行為と闘う国鉄闘争で、国労闘争団の労働者たちが自活体制を築き上げ、新たな局面を切り開いてきた闘いにも通じるであろう。
さらに第三の特徴は、この新しい経験と関係すると思われるが、昨年の労基法改悪反対闘争でもそうであったように、これらの闘争主体の明るさであり、それは守勢に立つ多くの労働組合や活動家とは実に対照的なことである。もちろんさらに厳しさを増す日本帝国主義の国家社会再編と対決することになるこれらの運動は、手痛い敗北も、悔いの残る失敗も経験することになるだろうが、そこには過去の敗北に囚われない、新しい時代に対応しうる、新しい闘争主体の萌芽をかいま見ることができるだろう。
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2・20シンポジウムでは、「雇用破壊NO!全国調整会議」の結成と、その主催で3月11日に開催される集会への参加と合わせて、就職氷河期といわれる女子新卒労働者を食い物にする悪徳派遣会社「パナソ」に対する全国キャンペーンも呼びかけられたが、こうした幾重もの全国運動をつなぎ、経営側から賃下げや整理解雇を「逆提案」されるという連合春闘の体たらくを越えて、不安定雇用の拡大という雇用破壊と金融再編下の倒産と失業に抗し、労働運動の再生をめざす全国キャンペーンの成功のために、階級的労働者は全力を挙げるだろう。
(3月12日)
「実践マニュアル」の申込先
★全日本建設運輸連帯労働組合 TEL:03(5820)0868 FAX:03(5820)0870
★全統一労働組合 TEE:03(3836)9061 FAX:03(3836)9077