アメリカは何処へ行く?

2003年3月20日

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 ついにアメリカはイラク攻撃を始めた。国連安保理でイラク攻撃容認の決議を採択にもかけることも出来ずに、「国際社会」の承認という大義を身にまとうこともできずに、「自衛のための戦い」と言って、作戦名を「イラクの自由」と空々しくも掲げ、「イラクに民主主義をもたらす」とうそぶいて、「国際社会」の戦争反対の声を無視して、アメリカは戦争に突入した。
 ブッシュは「負けない」と宣言した。たしかに戦闘で負けることはないだろう。だが、本当に彼の路線で、『世界をアメリカのものにする』ことができるのだろうか。
 21世紀後半は「パクス・アメリカーナ」の時代と呼ばれ、文字道理にアメリカの力によって世界はより「豊かで平和」になった。この時代は世界はアメリカのものであった。世界経済は統合され、各国の経済もアメリカ的な資本主義に改造され、世界は空前の経済成長を達成した。その力の源泉は、文字通りの「自由と民主主義」であった。経済システムも、社会システムも、そして政治システムも、アメリカが世界にもたらしたものの基本原理は「自由と民主主義」であり、アメリカは世界の憧れのまととなり、その巨大な力のもとで、世界は「国際協調」という枠の中で統合され、発展した。
 今日、パクス・アメリカーナの時代は過去のものとなり、アメリカは第二次世界大戦後に自らが作り上げた「自由と民主主義」に基づく世界システムを自らの力で破壊し、再編成の道へと突入した。その先は、「自由と民主主義」を看板に掲げた、その実はアメリカの独裁的な世界支配。アメリカは世界を帝国主義的に支配しようとする道へと突き進んでいる。
 果たしてアメリカ帝国は成立するのか。・・・・・「自由と民主主義」に基づいたシステムは、このまま崩壊するのか。
 今世界では、地域毎に国家の持つ権限を縮小して、地域経済統合から地域政治統合へと進む動きが各地で進んでいる。そしてこれは世界経済の縮小・不景気が広がる中で、その生き残りをかけた方策として、世界で進展している。自由と民主主義との深化という形で。
 EUはその象徴であり、そのEUとアメリカとの対立は、自由と民主主義の深化か世界の一国支配かをめぐる戦いの先端的あらわれと思われる。アメリカの一国支配を目指す動きは、世界中で抵抗にあうであろう。そしてその抵抗の旗印は「自由と民主主義」の深化。
 そしてこの戦いが世界中に広がることを通じて、アメリカ内部にも、目指すべき世界像をめぐる軋轢・戦いが広がるに違いない。
 この時、アメリカによる世界の一国支配は、夢・幻と成り果てる。
 アメリカの大義なきイラク攻撃は、唯一の覇権国家アメリカの力をかえって崩壊へと導く過程の、始まりではないだろうか。

(スナガ)


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