夏季一時金からのカンパを呼びかけます

(インターナショナル174号:2007年6月掲載)


 読者、友人のみなさん。4月の統一地方選挙と参議院補選とは、自民党という「包括政党」の衰退を、改めて確認する結果になりました。
 それでも安倍政権は、「国民投票法案」を衆院与党だけで強行採決、改めて参院選の争点に改憲を打ち出そうとしています。
 もちろん「消えた年金記録」の暴露や、松岡農水相の政治資金疑惑と自殺によって内閣支持率は急落し、安倍政権は窮地に立っています。しかしだからこそ、いわゆる重要法案を成立させようと、さらに強引な議会運営にのめり込んでもいます。
 これは安倍政権という、戦後生まれの閣僚が多数を占める政権の「危険性」を示すものですが、この政権の本当の「危険性」は、改憲への固執や右翼的言動というよりも、近代史に関する無知と、これに起因する「国際感覚の欠如」にこそあると言うべきだろうと思います。
 そのひとつの典型が、「従軍慰安婦」問題に対するウソとごまかしです。

 アメリカ議会では、「従軍慰安婦」に対する日本政府の「公式の謝罪」を求める決議案が上程されようとしていますが、6月14日付け「ワシントン・ポスト」紙に掲載された、日本の右翼的な議員や言論人63名が署名した、「慰安婦の動員に強制は無かった」とする内容の意見広告に、不信感と不快感が広がっています。ネオコンの大物・チェイニー副大統領さえ、この広告に対する不快感を韓国の関連団体に伝えたと言います。
 これは、自民党政権の命綱でもある「良好な日米関係」に悪影響を及ぼすばかりか、自ら国際的孤立を招いて、日本外交を危機に直面させかねない事件です。
 そしてこの事件は、安倍政権の「危険性」との対決が、「皇国史観」を完全に清算する「国民的近代史観」の再構築というイデオロギー的な課題でもあることを、すべての変革主体に突きつけています。
 それは戦後民主主義の弱点、つまり「日本だけ」の平和を願い、アジアへの加害に目を閉ざしてきた「平和主義」の限界を越えて、世界中の貧困に援助の手をさしのべ、あらゆる戦乱の抑止と停止のために尽力する、「日本人」としての新しい国際的存在価値の創造を、近代史の多面的実像の解明を含めて、すべての左派・革新勢力の協働によって推進する必要を明らかにしています。

 05年末、『戦後左翼はなぜ解体したのか』を刊行したわたしたちは、この出版を契機にして、党派・潮流を越えた多様な人々との真摯な討論を積み重ねてきましたが、こうした作業をさらに広げより有意義な「討論の場」として発展させるために、読者、友人のみなさんが、夏季一時金からカンパを寄せられるように訴えます。

****【カンパの送り先】****

 ●郵便振替:00180−0−355270 メルト


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