年末一時金カンパを訴えます

(インターナショナルbP50:2004年11月号掲載)


 世界が注目したアメリカ大統領選挙は、いわば「世界の多数派」の期待を裏切ってブッシュが再選を果たしました。
 この選挙結果は、第二次世界大戦後に文字通り世界をおおうまでになった、「自由と民主主義」に要約できるアメリカ的価値観の分裂を明らかにしました。
 それはパクスアメリカーナの時代とともに世界が受容した「自由と民主主義」が、ブッシュを再選させた「アメリカの多数派」が信じるそれと、イラクへの軍事介入に反対する諸国や戦争に反対する人々のそれに分裂したと言うだけでなく、清教徒的な教義に忠誠を尽くす「自由」と多様な文化や伝統を享受する「自由」等々に分裂しはじめたことをも明らかにしたと思います。
 人間集団の思考方法を象徴する価値観が人々の意識の集合であり、人間の意識がマルクスの言うように「その社会的存在によって決定」されるのなら、このアメリカ的価値観の分裂は、ヨーロッパの列強諸国が余剰生産物の市場と植民地とを求めて激しく争った帝国主義の時代を超越し、空前の経済的繁栄を築いたアメリカ資本主義の時代が、人々の意識を分裂させるような深刻な崩壊過程に入ったことを示唆しています。

 こうして「今」を生きるわたしたちは、アメリカ資本主義の危機の始まりという新しい時代、かつてヨーロッパの帝国主義列強が激しく争ったのとは明らかに違って「豊かな大衆社会」の分裂をともなった新しい危機の時代をとらえ、分裂して相争う世界を克服する「もうひとつの世界」を現実の葛藤の中に見い出し、そのオルタナティブ共有して「トータル革命」を遂行する主体の再構築を鋭く問われるのだと思います。
 国家権力とそれを行使する政治をテコにして、「上から」経済と政治の平等を作り出すことで「自由と民主主義」を達成しようとしたこれまでの革命を越えて、人間の意識を決定する社会の在り方を、その中に伝統として息づく文化の刷新とともに変革しようとする社会的な革命は、おそらくは全く新しい「知的道徳的ヘゲモニー」を求め、自己決定にもとづく大衆自治を内包する新しい組織体を求めることでしょう。

 読者、友人のみなさん。
 わたしたちはいま、こうした新しい時代認識、新しい「知的道徳的ヘゲモニー」を求めて、本格的な挑戦をはじめる必要を痛感しています。それはもちろん一朝一夜にして達成できることではないし、多くの人々との長期に及ぶ協働を必要とするでしょう。しかしだからこそわたしたちは、必要を自覚した者としてそれに応えたいと考えています。
 こうした協働を支持し発展させるめに、年末一時金からカンパをしていただくよう心から訴えます。

郵便振替:00180−0−355270〔メルト〕


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