●印刷版「インターナショナル」を休刊します。

(インターナショナル第196号:2010年8月号掲載)


 わたしたちが「第四インターナショナル日本支部再建準備グループ」として独自の組織活動に踏み出したとき、わたしたち自身のメッセージを伝えるために最初に発行した印刷媒体は、1988年3月刊行の「労働者の旗・インターナショナル」という、不定期刊で70頁ほどの小冊子でした。
 これを季刊の理論誌「労働者の旗」と月刊のニュースレター「インターナショナル」に別けて発行し始めたのは翌89年4月ですが、それは当時、リクルート疑獄が自民党・竹下政権を大きく揺さぶる一方で、連合の結成による労線再編の進展を背景に、社会党の分裂と「連合新党」の動きが活発化するなど急を告げる情勢に対応して、少なくとも月刊というリズムでわたしたちの考えや指針を表明する必要に迫られたからでした。
 それから今年3月に発行された194号までのほぼ21年間、印刷版「インターナショナル」は、わたしたちの情勢分析や問題意識を読者、友人たちに伝え、いわゆる55年体制の終焉にともなう政治再編の局面をいかに闘うかの指針を明らかにしようとする、わたしたちの組織活動にとって重要な位置を占めてきました。
 それは2002年4月に「インターナショナル」のホームページ(HP)が開設され、あわせて無料のメールマガジンを配信するようになっても、大きく変ることはありませんでした。
 それでもHPの開設と無料メルマガの配信は、ひとつの転機となったのです。簡単に言えば、印刷版の読者が減少しつづける一方で、無料のメルマガはその何倍もの読者が購読してくれるようになったからです。
 と同時にこの頃、わたしたちの活動も重要な転機を迎えていました。それは、戦後第四インターナショナルの総括を介してその歴史的限界を解明しようとする作業を通じて、ロシア10月革命をモデルとする社会変革の展望が、大衆消費社会として特徴づけられる戦後資本主義との闘争においては、必ずしも有効な戦略・戦術とは言えなくなったという認識を深めていたからです。
 もちろん、印刷版読者の減少とメルマガ読者の増加という現象が、わたしたちの問題意識の変化とどんな関係にあるのか定かではありません。しかしはっきりしているのは、印刷版が発行部数や取扱店の制約のために、新規読者との接点という点で多くの限界があるのに対して、HPとメルマガは、印刷媒体とは比較にならないほど多くの人々と接点を持つ可能性があり、それはまた戦後日本の左翼運動をまったく知らない世代との接点をもつことも可能にするということでした。
 そしてもうひとつの問題は、おそらくすべての左派勢力が直面していることでしょうが、わたしたちもまた会員や読者が次々と定年を迎えて現役を引退し、印刷版の製作・発行に関わる労力を含めた費用負担が過大になってきたことがあります。
 それは前述のような、新しい読者層にわたしたちの問題意識を伝える手段としてはあまりに脆弱な印刷版「インターナショナル」の費用対効果の問題を、真剣に検討することをわたしたちに強く促すことになったのです。

 以上のような理由で、わたしたちは本195号(通巻196号)をもって「インターナショナル」の印刷版を休刊し、今後はHPとメールマガジンに「インターナショナル」の活動を集約することにしました。
 印刷版を長らくご愛読下さった読者のみな様に心よりお礼を申し上げますと共に、メールマガジン版「インターナショナル」のご購読申し込みをいただきますよう、改めてお願いする次第です。

 2010年8月25日
 インターナショナル編集委員会
 


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