年末一時金からのカンパを訴えます

(インターナショナル第192号:2009年11月号掲載)


 読者、友人のみなさん。
 さる9月の総選挙では、半世紀にわたって戦後日本の政権を独占してきた自民党が歴史的大敗を喫し、代わって鳩山民主党代表を首班とする民主党、社民党そして国民新党の連立政権が発足しました。
 しかし鳩山新政権の評価をめぐって、新旧の戦後左派勢力内の意見対立も顕となり、「新政権支持」から「ファシスト政権打倒」まで、ほとんど何の共通項もない対極的評価が百出し、すでに退潮著しい左派勢力の更なる分散化と無力化を促進している観があります。しかし他方では、戦後保守勢力の連合体・自民党もまた「新たな保守政党」の理念や基本政策を見出せないまま漂流していると言えるでしょう。
 この左派と保守派を貫く思想的混迷は、「アメリカの時代」すなわち後期資本主義が歴史的転換期にあることを示しています。包括政党・自民党は、ヨーロッパ階級社会の対案だった「豊かな中産階級による大衆消費社会」が、金融グローバリゼーションという極めて不安定な経済構造に移行したことに無自覚なまま、旧態依然たる利益誘導政治の転換に失敗したのであり、左派勢力もまた革命と反革命が世界規模で対峙する「戦争と革命の時代」という時代認識から脱却できず、「豊かな中産階級」の没落で格差と貧困とが主要な社会問題に浮上したとき、これと対峙して連帯や互助を実践する社会運動の大衆的構築へと転換することができなかったのです。そしてこの左派の立ち遅れをかろうじて埋め合わせたのが、昨年末の「年越し派遣村」だったのです。
 つまり自民党と左派に共通する思想的混迷の要因は、時代の転換期に対応した自らの変革に失敗して対応能力を喪失したことなのです。
 その意味で総選挙における民主党の圧勝は、この党の理念や政策が信頼に足るものだったからというよりも、対応能力を喪失した保守派と左派とが共に人々に見放され、しかし同時に何らかの変化を求める民衆の多くが現状の閉塞感の打開を期待し、その現実的な可能性を民主党の「雑多な主張」の中に、よく言えば民主党の「多面的な政治性格」の中に見出した結果でもあったのです。
 しかしそうだとすれば、私たちを含む戦後日本の左派勢力は、民主党を政権へと押し上げた人々の期待に真摯に向き合い、あるいは「対応能力の喪失」に陥った私たち自身の過去を自省し、鳩山政権の「多面的な政治性格」の中に人々の期待に応える効果的な政策の可能性を見つけ出し、「格差と貧困に対峙する連帯や互助」を実践する多様な社会運動に立脚して、金融グローバリゼーションが押しつぶしてきた基本的人権や労働者の尊厳を回復する具体的な政策を鳩山連立政権も巻き込んで実現しようとする、「社会的に有用な政治勢力」の形成に挑戦をするべきなのだと思います。
 読者、友人のみなさん。「社会的に有用な政治勢力」の形成に共に挑戦するために、年末一時金からのカンパを呼びかけます。

****【カンパの送り先】****

  ●郵便振替:00180−0−355270 メルト


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