【資料】JR採用差別事件の鉄建公団訴訟高裁判決を受けての4者・4団体共同声明

(インターナショナル第186号:2009年4月号掲載)


 東京高裁は3月25日、国労闘争団員らによる鉄建公団訴訟控訴審判決で、一審東京地裁判決と同様に旧鉄建公団(現鉄道・運輸機構)の不当労働行為責任を認め、原告らに、一審判決より50万円多い550万円の損害賠償の支払いを命じた。
 以下、4者(国労闘争団全国連絡会、鉄建公団訴訟原告団、運輸機構訴訟原告団、全動労運輸機構訴原告訟団)・4団体(国労、建交労、中央支援共闘、国鉄共闘)の共同声明を資料として掲載する【編集部】。

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 3月25日、東京高等裁判所第17民事部は、国労組合員が独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)に対して提訴したJR採用差別事件に関する控訴審で、一審判決を基本的に支持し、原告らの控訴を事実上棄却する判決を出した。
 しかし、高裁判決は、JR採用に当たって「不当労働行為」があったことを明確に認めると共に、消滅時効の起算点は、最高裁判決により確定した2003年12月22日であると判示し、一審原告の22年間の闘いが正しかったことを証明した。
 不当労働行為に基づく解雇を容認したものの、精神的損害の賠償として550万円の支払いをじたが、到底22年間の苦闘を考えた時に、その償いとは言えない。
 また、一部原告らについて、国鉄時代の処分歴などを理由に、請求を棄却している等の点は、問題の性質を理解せず形式的判断として強く批判されるべきものである。

 国鉄の「分割・民営化」から、実に22年が経過する。国鉄改革法審議過程の中で「一人も路頭に迷わせない」「組合差別があってはならない」との大臣答弁や参議院での付帯決議が行われたにも関わらず、何一つ守られることなく、原告らは組合差別の末解雇され、22年間も路頭に迷わされてきた。この間、52名の被解雇者が亡くなり原告・家族の精神的、経済的苦痛は筆舌に尽くせないものがある。
 原告らの「路頭に迷わない」解決要求はすでに明らかにしているように「雇用、年金、解決金」であり、22年間の原告らの辛酸を推し量ったときに、これらの要求が満たされねばならない。

 南裁判長は「この判決を機に1047名問題が早期に解決されることを望みます」との異例のコメントを付け加えた。
 現行法制下では22年間放置され、路頭に迷ってきた当事者を、「十分救済できない、従って政治で解決しなさい」というメッセージに他ならないと我々は判断している。

 昨年の7月14日、南裁判長が「裁判外での和解」を呼びかけたことに対して、当時の冬柴国土交通大臣も「誠心誠意努力する」と発言し、解決に向けての当事者間の話し合いは、現在の金子国土交通大臣に引き継がれている。

 判決後、マスコミ各社は、「今こそ政治決断する時」「不採用から22年という長きにわたる原告たちの苦悩を思えば、一日も早い解決を願わずにはいられない」と、政治の責任でこの問題を解決すべきであると一斉に報道している。

 今こそ鉄道・運輸機構及び政府、政治は解決を決断すべきである。
 鉄道運輸機構及び政府が、3月25日の判決で示された不当労働行為の事実と損害賠償責任を踏まえ、「人権問題」として採用差別事件の全面解決のための交渉のテーブルに着くことを強く求めるものである。
 4者・4団体は、国策によって引き起こされた1047名問題の全面的な解決に向けて、引き続き政治解決を求めて行くことを、内外に明らかにするものである。


2009年3月26日


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