闘う闘争団が訴訟参加を申請
共闘会議結成にむけ 「3・30アピール」も

 


訴訟取り下げ策動

 国労本部は3月15日、1月の国労大会で「4党合意の中身と矛盾するような追加決議があったので、4党協議会として国労にその辺を正そう」(3・15記者会見での甘利・元労働相の発言)として行われた自民、公明、保守、社民の4党による意見聴取の席上、「矛盾がないように努力する」と、「解決条件」の提示以前に訴訟の取り下げを示唆する回答を行った。
 しかも意見聴取の後に社民党の渕上とともに記者会見に臨んだ自民党の甘利は、「中身を見て『やっぱりやめた』ということはありえない」と、交渉の余地などない解決案の提示であることを言明、さらに「あまり短兵急に(国労執行部を)追い込んでも、と考えている」と、国労を追い込んで解決する意図を明け透けに語ったのである。
 これに対して解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団(略称:闘う闘争団)は、ただちに内田、原田両代表名で「3月15日の4党による意見聴取の真相解明を求める意見書」を国労本部に送って訴訟取り下げ絶対反対の態度を明らかにしたが、国労本部は3月28日付け「本部電送79号」で「その話題が議論されたものでもなく…基本方針に基づいた態度で望(ママ)む」と全面否定しただけで、甘利の発言に抗議ひとつした訳でもない。それは甘利が記者会見でウソをついたのではなく、国労本部が、闘争団の当然の疑念をごまかし4党合意の真相を隠し続けようと、見え透いた二枚舌を使っていることの証しである。
 だがこうして、100件を越える地労委の救済命令の履行を求めて行われてきた行政訴訟が、国労本部の一存で取り下げられる危険が現実のものとなった。それはJRの法的責任を追及する闘いを国労自らが投げだすだけでなく、不当労働行為の直接の被害者である闘争団員が救済を求める権利まで否定する暴挙以外のなにものでもない。

212人が訴訟参加を申請

 4党による訴訟取り下げの圧力と、国労本部の屈服的対応と不誠実な対応に抗して、闘う闘争団は4月27日までに、212人がこの行政訴訟の共同訴訟人となるべく最高裁に訴訟参加を申請した。
 この訴訟参加の申請は、行政事件訴訟法の第22条1項の規定にしたがったものだが、そこには「裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者もしくはその第三者の申し立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる」とあり、同4項には「第一項の規定により訴訟に参加した第三者については、民事訴訟法第62条(必要的共同訴訟人の地位)の規定を準用する」とある。
 法の規定にある「権利を害される第三者」が闘う闘争団であるというのは、ある意味では不条理である。闘争団こそが当事者のはずだからである。だが国鉄闘争に限らず戦後労働運動の「常識」では、訴訟の当事者は法人格をもつ労働組合、この場合は国労であって個々の当該労働者ではない例は珍しいことではない。労働者個々に保障されるべき基本的人権や労働権は、このようにして代行主義的な労働組合官僚の恣意に委ねられてもきたのである。
 もちろん最高裁が、極めて政治的な判断によって申請を却下する可能性も否定はできないが、少なくとも闘う闘争団は、行政訴訟においても争議を自らも手に取り戻す闘いに踏み出したのである。
 先にジュネーブのILO本部に代表を派遣し、国労本部も歓迎した昨年11月の4党合意受け入れを勧告した第二次勧告の是正を求めて追加情報を提供したこととあわせて、闘う闘争団が、大衆自治と自己決定にもとづいた納得のいく解決の実現にむけて、争議を自らの手に取り戻す闘いが着実に前進しはじめたと言えるだろう。

闘争団共闘会議結成にむけて

 こうした闘う闘争団の動きに対応して、支援・共闘戦線結成の動きも本格化しはじめている。
 3月30日には、東京の日本教育会館で「解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団と共に闘う3・30集会」が、国労組合員や支援の仲間たち400人を集めて開催されたが、この集会は、3月1日に行われた「闘う国労闘争団激励・交流集会」(本紙前号で既報)につづいて、争議の当事者としてあくまでも「JRの不当労働行為責任」を追及して闘いつづける決意をかためた国労闘争団および有志と、こうした闘いを支持してそれを共にになおうとする支援の仲間たちが一同に会した、新たな国鉄闘争の出陣式といっていいだろう。
 集会では、「JRの不当労働行為はゆるさない!解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団の決意と訴え」が明らかにされ、同時にこれに応えようとする「闘う闘争団を支持し、共に闘う3・30連帯アピール」(3・30アピール)が採択されたが、このアピールの最大の特徴は、これまでの争議当該と支援という主体と客体の関係をこえて、JR内外を貫いて、国労闘争団員、JRの国労組合員、支援の仲間たちがそれぞれ主体的に、JRの不当労働行為責任を追及する共闘会議をめざそうと訴えていることであろう。
 「解雇撤回・地元JR復帰をめざす闘争団の闘いを支援することは、社会的に推し進められようとしているリストラ攻撃に対し、共に闘う労働者の責務」であるとの立場を確認したうえで、「奪われた人権の回復と社会正義の実現をめざし、闘う闘争団の『決意と訴え』を全面的に支持し共に闘うために、『JRの不当労働行為は許さない!国労闘争団共闘会議(仮)』結成にむけ歴史的な第一歩を印したことを内外にアピールします」と結ばれたアピールは、社民党や国労本部が、争議当事者である闘争団の意志を無視して4党合意による争議終結を強行しようとしているのとは対照的である。
 それは当事者の決断を最大限尊重し、国鉄闘争の社会的意義を踏まえ、それぞれの労働者が自らの課題として国家的不当労働行為責任を追及することで連帯する、相互の自発性を基礎にした共闘の呼びかけである。

(T・K)


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