●JRを免罪する4党合意反対!●
政府・運輸省、JRだけが当事者能力ある交渉相手だ


 5月31日、国労の全国各エリア・地本代表者会議は、前日30日に、自民・公明・保守の与党3党と社民党が記者会見で明らかにした「JR不採用問題の打開について」の4党合意を国労として受け入れるか否かをめぐる討議をおこない、7月1日の臨時大会開催と、闘争団との意思統一会議などの当面の日程だけを確認するにとどまった。
 4党合意の内容は、国労が「JRに法的責任がないことを認める」決定を臨時全国大会で決め、この「決定を受けて」、@与党はJRに各エリア本部との話し合い開始と、人道的立場からの雇用確保(闘争団員の採用)の検討を要請し、A社民党は国労に訴訟などの取り下げを求め、B与党、社民党間で和解金の位置づけや額などを検討するというもので、素直に読めば、解決水準の提示どころか交渉テーブルの設置すら保障はしなが、国労は不当労働行為責任の追及をやめることを全国大会で決定せよ、というものである。
 国労の全国代表者会議では、本部の受け入れ方針支持は2〜3人で、他の12〜13人の発言のほとんどは「解決案も示されないまま、JRの責任を免罪する臨時大会を開くのか」と本部を問い糺すものだったという。
 だが宮坂書記長の答弁は、「妨害勢力の動きもあるので具体的報告はできない」と一切を明らかにせずに、「水面下での協議は進行中だから、臨時大会には(解決内容を)報告できる」と述べ、どこの誰との、どんな協議が進行中なのかさえ明かさず、ただただ「本部と社民党を信じてくれ」を繰り返し、「異論はあったが、それは意見だ」として、7月の臨時大会の開催だけを強引に確認したのだという。

 国労は1986年の修善寺大会以降、一貫して旧国鉄・JRの不当労働行為責任を追及するために闘ってきたはずである。地労委・中労委と、労働委員会に不当労働行為に対する救済申し立てを行い、その「救済命令」を取り消した東京地裁判決(98年5月)の不当性を訴えて東京高裁での控訴審にも臨み、あわせて国際運輸労連(ITF)の支持をえて国際労働機関(ILO)への提訴を行い、昨年11月には、日本政府および裁判所の87号条約違反を強く示唆するILO中間勧告が出されたのを受けて、政府・運輸省に解決交渉テーブルの設置を要求し、その早期実現を要求する共同声明を連合をも含めて組織し、百万人署名運動への協力をあらゆる労働組合に要請してもきたのではなかっただろか。
 こうした経緯や他労組との信義をも無視するように、政党間協議なる「解決交渉ならざる交渉」の段階で、解決内容も示す事なく、JRの不当労働行為責任の免罪を国労に要求する「4党合意」は、悪い冗談以外のものではないのは明らかである。むしろこの「4党合意」の受け入れに賛成するのは、国労の全国大会方針を逸脱した組織統制違反の疑いすらあり、これに反対を唱えた高橋委員長以外の本部役員たちには、規約にもとづいた毅然たる処分が検討されて当然である。
 いわんや、現在の国労本部のチャレンジグループと革同上村一派は昨年3月、国鉄改革法23条の容認が、解決交渉を実現する突破口だとしてこれを臨時大会で承認させたのだから、まずはその責任を自ら明確にしなければならないはずである。

 この国鉄闘争の危機的事態を打ち破るために、階級的労働者はまずなによりも、「4党合意」に至った政党間協議と、国労が要求してきた解決交渉を峻別する必要がある。闘争団を先頭にして、国労が要求してきた解決交渉の当事者能力ある交渉相手は、政府・運輸省そしてJR以外にはないのであり、だからこそ解決交渉は、不当労働行為責任をめぐる攻防の場となりうるのである。
 したがって、仮に臨時大会で何らかの「解決内容」が示された場合も、その交渉相手や責任主体が誰なのかを明確にさせ、政府・運輸省とJR各社を交渉相手としないあらゆ水面下交渉や協議のごまかしを許さず、チャレンジグループと革同上村一派のまやかしを暴き出さなければならない。なぜなら「4党合意」の華々しい公表とは裏腹に、現実には運輸省もJR各社も、政党間協議には全く関知している気配すらないからであり、現時点でのいかなる「解決案」も、その実効性は全く保障されていないからである。
 われわれは闘争団の仲間とともに、全面解決要求の実現のために、そしてグローバリズムの強要に抗して労働者の権利の国際基準を日本でも実現するために、最後まで断固として闘いつづける。       

 (6月1日)


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